鎌倉時代初期に成立した「宇治拾遺物語」という書物に、当時の暦にまつわる話がのっています。 ある身分の低い女官が下級役人に暦の書写を依頼したところ、その役人がいたずらで、あらぬ事を書き連ねてしまいその女官が大変な目にあったというものです。

 それは選日の吉凶の決まり事の欄に、その日の禁止事項として出鱈目が書かれていたというもので、特にひどいのは「はこすべからず」と書かれていた事です。「はこ」とは便器の事、「はこする」とは大のほうをする事になるので、「はこすべからず」とは排便してはいけない事になります。それを信じた女官は災難にあった、と言う話です。

 実際にあった事かは疑問ですが、暦に縛られていた当時の人々の様子がかいま見えるお話です。