十月から十一月にかえて日蓮宗のお寺ではお会式が行われる。お会式とは日蓮聖人がお亡くなりになった年忌法要の事だが、多くのお寺ではこのとき聖人の頭にお綿をかぶせる。

 これは、実は四大法難の一つである小松原の御法難の故事に倣ってお掛けしているのだ。

 小松原の御法難とは、伊豆流罪を赦免され安房に帰郷された聖人を、熱心な念仏信者で地元の権力者である東条景信らが襲撃した事件である。

 ひどい襲撃で、弟子の鏡忍坊らは殉死し、聖人自身も眉間を強く打たれたが何とか危機を脱した。その時、一人の老婆が自分の真綿を聖人に差し上げたがすぐに血に染まったため、もう一枚かけて差し上げたという。

 この日が十一月十一日でお会式の日とも近いため、お会式の日には赤と白のお綿を聖人に掛けるようになったのである。