大乗仏教の利他行を実践するためには、難しい理論ではなく、実践的な方法が求められます。

釈尊は、救いを求める人々の理解力や苦悩の現実に即して、その人にとって最も的確な助言を行いました。

この様な実践的な救済の方法を大乗仏教では「方便」といいます。方便とは、手段、手立てといった意味です。

大乗仏教では釈尊の知恵=般若を菩薩にとっての母、それに対して方便を菩薩の父とみなします。

存在の本質を見抜く知恵を備え、且つそれぞれの特性を見分けて対応する方便がそろって、はじめて菩薩の救済は完成されると考えました。

日蓮宗の根本聖典である『法華経』には方便品という方便をテーマにした章が設けられており、経典全体を貫く重要な観念となっています。