「カンラン持っていくか」祖母が今から畑に行って野菜を取ってくるからもう少し待ってほしいと母に伝えた。しばらくすると、祖母は大きなキャベツを抱えて畑から帰ってきた。

この時私は子供ながらにカンラン=キャベツであることが理解できた。

キャベツの名前の由来は英語のキャベッジ(cabbage)から来ているそうで、キャベッジとは、頭を意味するラテン語のカプト(caput)が語源であるという。また、別名に中国語名の甘藍(カンラン)があり、昔はこの呼び名が一般的であったという。

ところで、法華経の名称は妙法蓮華経を略したもので、インドのサンスクリット語のサッダルマプンダリーカスートラ(saddharma-pundariika-suutra)「正しい教えである白い蓮の花の経典」という意で、これを漢字に音写したのが薩達磨芬陀梨伽蘇多覧である。

天台大師智顗(ちぎ)の作と伝えられる「頂経偈」には次のような文がある。

稽首妙法蓮華経 薩達磨 分陀利伽 一秩八軸四七 品 六万九千三八四 一 一文文是真仏 真仏説法 利衆生 衆生皆已成仏道 故我頂礼法華経

稽首とは、頭を地につける礼で妙法蓮華経に礼拝する意。薩は妙、達磨は法、芬陀梨伽は蓮華、蘇多覧は経を意味する。一帙とは、書物の傷みを防ぐため、包む入れ物。八軸とは法華経の全八巻。四七品とは法華経の品数で全二十八品。六万九千三八四は法華経の文字数。一々文々是真仏とは法華経の一一の文字が御仏そのものであり、仏様は法をお説きなられ、利益を与えてくださる。つまり、私たち衆生は経巻を拝読し、頂戴しているところに、もうすでに仏道を成就していることになる。この経巻を御仏と思い、両手で押し頂くところに信仰がある。

今では甘藍という言葉は使わなくなったが、キャベツは日本の食卓を代表とする野菜となった。法華経が日本を代表とする経典となり、やがて世界中に弘まっていくことを祈る。