鬼子母神様は元は鬼神でした。人間の子供の肉が大好物でそれを食べて母乳にして我が子を育てました。それがお釈迦様の教化を受けて改心し子供を守る善神になったというお話はよく知られています。

 お釈迦様のお弟子には同じような経緯を持つ方が他にもいます。

 その人の名はアングリマーラ。「指切り悪魔」という意味です。本名はアヒンサという

バラモン教の修行者でした。本来立派な修行者だったのですが、ある日彼の師匠が留守の間に日頃から彼に好意を持っていた師匠の妻が誘惑してきました。それをはねのけたアヒンサに妻は逆ギレ。自ら服を破り戻って来た主人にアヒンサに乱暴されたと告げ口したのです。師匠は怒ってアヒンサに「お前が修行を完成させる術は千人の人間を殺してその指を切り取りそれで首飾りを作ることだ」と言ったのです。アヒンサは悩みましたが師匠の言うことは絶対です。翌日からアヒンサは殺人鬼アングリマーラに変わったのです。もうあと一人で首飾りが完成という時、出会ったのがお釈迦様でした。

 「動くな、止まれ」脅迫してきたアングリマーラにお釈迦様は答えました。

 「私はすでに止まっている。私の中の殺生という悪心はすでに止まっている。止まっていないのはそなたの方だ。悪心を止めよ」
アングリマーラはハッとしてその場にうなだれてしまいました。彼はやっと救われたのでした。

 仏弟子になったアングリマーラは托鉢に出ます。すると今までの所行により街の人々から苛烈な迫害を受けます。しかし決して抵抗はしません。「総ての命を二度と奪わない」この誓いを生涯守り切ったのです。アヒンサとは「不殺生」という意味でした。

 日蓮聖人は「小罪なれども懺悔せざれば悪道を免れず。大罪なれども懺悔すれば罪消える」と教えて下さっています。

 信仰は懺悔に始まり懺悔に終わるのです。懺悔は最高の祈りなのです。