『キングダム』という漫画がとてつもない人気を集めている。時は春秋戦国時代。下僕の少年が、若き日の秦国王と出会い、共に中華統一という果てしない夢へ突き進むという物語である。単行本は現在五十四巻まで発売され、総発行部数は四千万部を数える。更に今年四月に実写映画化され興行収入は五十億円を突破した。

 このキングダムはバトル漫画なのだが、各キャラクターが自身の哲学を語る場面も数多く描かれている。

中でも私の最も印象に残っている場面がある。それは法の番人とも称された李欺が法とは何かについて秦王の側近に語っている場面である。

 「法とは願い。国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ。統一後、この全中華の人間にどうあってほしいのか、どう生きてほしいのかをしっかり思い描け」と。

 この李欺は、秦王が成人するまで、権力を欲しいままにしていた呂不韋の部下であり、秦王にとっては政敵である。呂不韋の失脚後李欺は投獄されたが、秦王の側近がこの言葉を聴いて再び李欺を登用し、世界初の法治国家である秦帝国を建国したのである。この場面での「法」とは、貴族も平民も関係なく罪を犯した者には同じ罰を与えるという、「平等思想」のことである。この絶対平等を信念とする思想家集団のことを法家と呼ぶ。李欺はこの法家の政治家である。中華を統一するということは、文化も言語も貨幣も宗教も全く異なる国を、秦国の法律の下に一つにまとめるということである。

 思想よりも法律を重視する、これは現代では当たり前のことである。法を侵せば罰則が科されるからである。

 では、法律を守れば何をしてもいいのだろうか。やはり一人一人がどのような信念を持って生きるかが大切なのではないかと思う。より豊かな人生を送るためにも、一人一人を敬う心を説く法華経の世界観で生きることが必要である。