中国西安の郊外にある草堂寺という仏教寺院で、日蓮宗はじめ日蓮聖人門下連合会の各宗が一堂に会して鳩摩羅什三蔵法師(くまらじゆうさんぞうほつし)報恩大法要が執り行われ、私も出仕参詣の機会を得た。この草堂寺というのは法華経がインドのサンスクリット語から漢訳された場所である。

 令和三年つまり再来年、宗祖日蓮大聖人御生誕800年の慶年を迎える。これに先だって、私たちが読誦する妙法蓮華経を漢訳したそ

の功労者である鳩摩羅什三蔵法師に報恩の誠を草堂寺で捧げたのである。

 法華経は西暦四〇六年に羅什三蔵法師を慕う僧侶三千人が、この草堂寺に集まって漢訳されたという。その功績は非常に大きいもので、この漢訳妙法蓮華経がなければ、私たちは今の形で法華経お題目に出会うことがなかったかもしれないといわれている。

 日本から百三十名を超える僧俗が集まっての大法要が厳粛盛大に執り行われ、今もまだその時の感激は胸の内につづいている。

 大法要は草堂寺境内に日蓮宗鳩摩羅什三蔵法師遺跡顕彰会の協力により建てられた、蔵経楼で行われた。

 実は私は真如寺有縁の有志の方々と「樹輪の会」として、この蔵経楼の地鎮式が修された五ヶ月前、平成十三年三月に総勢十八名で草堂寺に参拝している。当時はまだ草堂寺は復興の途についたばかりで、目につくお堂も他にはなく、羅什記念堂で報恩法要を修したことを記憶している。

 羅什三蔵法師の当時は立派な寺院だったろうが、時の流れの中で荒れ果て、境内はトウモロコシ畑となり、仏像は一体もないという状態であったのを、日蓮宗において遺跡復興の誓願を立てて、まず鳩摩羅什尊像を謹刻し記念堂を建立したのであった。

 このようなことを想い起こしながら境内を歩くと、妙法蓮華経を通してインドから中国、そして日本へと伝わってくる仏の慈悲の心の軌跡が目に見えるように感じられたことであった。

 法華経によって世界がひとつになるよう祈る。