コラム 億劫(おっくう)

 この季節になると、子供のために毎日毎日麦茶を沸かして、ホントにおっくうだ。

 面倒なことを億劫(おっくう)というが、実は仏教に由来する、途方もない時間の長さを表す言葉だ。

 「劫(こう)」とは、百年に一度舞い降りる天女の羽衣が大きな岩に触れ、その摩擦だけで岩がすっかり消滅するまでの時間を指す。それがさらに「億」も重なった、気の遠くなるような宇宙的スケールの長さが「億劫」の語源。

 そんな無限に近い時間に比べれば、毎日の麦茶沸かしに費やす時間などほんの一瞬の出来事だ。宇宙の永い歴史の中で、家族のために注ぐこの「一瞬」を慈しむと思えば、目の前の面倒な家事も不思議と心が軽くなるような。今日も香ばしい香りを楽しみながら、お茶を沸かしましょう。