7月の法話 心に涼を/植田観龍

 夏空が広がり、強い陽射しが照りつける七月。

 この時期になると、身体だけでなく心まで疲れやすくなるものです。暑さによって眠りが浅くなったり、食欲が落ちたり、知らぬ間に余裕を失ってしまうこともあります。忙しい毎日を送っていると、自分では大丈夫と思っていても、気づかぬうちに無理を重ねてしまうものでしょう。

 現代はとても便利な時代になりました。知りたいことはすぐ調べることができ、誰かと連絡もすぐに繋がります。しかしその一方で、心を休める時間は少なくなっているようにも感じます。少し時間が空けばスマホを開き、次々と情報を追い続けてしまう。気づけば一日中、何かに急かされるように過ごしている。そんな日も少なくありません。

 禅の言葉に「喫茶去(きっさこ)」という言葉があります。「まあ、お茶でも飲みなさい」という意味ですが、その中には「まずは落ち着きなさい」という教えが込められています。

 仏教では、乱れた心をそのままにしないことを大切にします。余裕がなくなると、人にやさしくできなかったり、些細なことで腹を立ててしまうことがあります。しかし、ほんの少しでも心にゆとりがあれば、同じ出来事でも受け止め方は変わります。

 忙しい時ほど、あえて一息つく。それは怠けることではなく、自分自身を見失わないための大切な時間なのかもしれません。夏の暑さの中にも、心には涼やかさを持って過ごしたいものです。今自分たちの目の前にあるかけがえのない一日を、ただ忙しさで流すのではなく、ありがたく受け止める。その積み重ねが、穏やかな暮らしへとつながるのではないでしょうか。

 暑さ厳しき折、どうかお身体を大切に、静かな一服の時間を味わいながらお過ごしください。無理を重ねず、今日の息を整えることも、仏道の歩みかと思います。慌ただしい日々の中にも小さな安らぎを大切にしてください。どうか心穏やかな夏となりますように。