9月の法話 マムシの一撃/相川大輔

先日、小学一年生の次男がマムシにかまれた。

お寺での法要が終わり、来客の方々をお送りしてホッとしていた時のことだ。

「マムシにかまれた!」
と次男が手を抑えながらかけてきた。

「どんな色のヘビだった?」

「茶色で銭形模様のやつ!」

それは確かにマムシだ。

次男は昆虫や爬虫類、特にヘビが好きでよく図鑑やDVDを鑑賞しているので間違いないだろう。

すぐに救急車を呼んで病院へ向かった。

 

病院への道中、かまれた部位が腫れて痛んできたようで、泣きながら、

「お父さんの言うとおりに、もうマムシは触りません。いい子になります」

「もうヘビは嫌い!」
などと反省の弁を続けた。

私たちは次男のように、危険なことやってはいけないことと分かってはいながら、好奇心や欲心からやってしまうことが多々ある。

ここで重要なのは、やってしまった後にその経験から何に気づくかである。

 

法華経の中でも、毒を誤って飲んでしまい正気を失ってしまった子供たちに解毒薬を飲ませるため、父親が自分が亡くなったと思わせて子供たちに正気を取り戻させる場面があるが、

子供たちに自身の死を伝えるということは、まさに「愛の一撃」といえる。

この一撃により子供たちは正気に返り父親の用意した解毒薬を飲めばいいことを理解するのだ。

私たちもまた日常の様々な経験から、久遠の仏の慈悲に気付きそれに応えるべく行動したいものである。

 

次男はといえば「マムシの一撃」をもらったが、十五センチほどの子どものマムシだったため、毒の量も少なく、2週間で完治することができて、感謝感謝である。

その次男、母親から快気祝に何がほしいかを聞かれたところ、

「キングコブラのぬいぐるみ!」

「……」

もう二度とマムシを触ろうとしないことを願うばかりだ。