2月の法話 皆の思いをひとつに/相川大輔

ここ最近ニュースでよく見かける“グレタ・トゥーンベリ”という名前をご存じだろうか。彼女は若干十七歳のスウェーデンの環境活動家である。

彼女が世界的に知られるようになったのは、十五歳の時に、地球温暖化による気候変動への早急な対策をスウェーデン政府に求めて「気候のための学校ストライキ」をおこなったことによる。

彼女はこのストライキで、「大人が私の未来を台無しにしようとしているので私はこれをしている」と書いたリーフレットを配布し、温暖化によって引き起こされている地球環境の危機について、私たち大人の世代の責任を追及し、この問題への待ったなしの対策の実行を訴えたのだ。

もちろんその言動に対する批判もあるが、彼女は今や環境問題の世界的なリーダーであり、特にヨーロッパの人々の環境問題への関心を高め、その対策へ早急に着手すべしという世論形成の中心を担っている。

要するに、彼女は、温暖化による地球環境問題について、「王様は裸じゃないか!」と声をあげたのである。

私たちは薄々気づいている。記録的な大型台風による被害や記録的な猛暑から地球環境の危機を。地震や津波による原発事故からエネルギー政策の転換をなすべきことを。さらなる日本社会の高齢化による介護問題や年金問題の深刻化を。

私たちは、日常の中の様々な問題に気づいていながら、周りを憚って声を出せずにいる。行動できずにいる。

ではいったい私たちはどうすればよいのか。グレタ・トゥーンベリの言動の中にもそのヒントがあるのではないだろうか。彼女の活動は法華経の身読=法華経の実践=に通じるものがないだろうか。

衆生安穏への取り組みが法華経の心だとすれば、その心に適っているのならば勇気を振り絞って声をあげ行動することで、必ずや賛同者が後に続き、その思いは一つとなり、事が成ずるものであると信じる。