コラム 増上慢(ぞうじょうまん)
心の驕(おご)りたかぶりのこと。まだ悟りを得ないのに得たと思い上がることをいう。
慢とは、他人と比較して、自分が優れていると思いこみ他を軽蔑する心の働きをいう。自分が優れていると思い込むと、結果は自身が悟りへの道をこれ以上進むことができないこととなる故、悟りの道を塞ぐ煩悩の一つとされている。仏教ではこれを七種に分類して、増上慢はそのうちの一つである。
平家物語に「驕れる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし」と、栄華を極めて勝手な振舞をする人は長くその身を保つことができないとするが、私たちはともすれば驕り高ぶり、思い上がりがちである。そうなると私利私欲に走りがちとなる。自らを戒めて、日々謙虚な心で過ごすことを心掛けたい。