9月の法話 朗人?/偉美理庵

 今月は祝日が二日ある。18日と23日だ。23日は秋分の日、秋の彼岸中日だ。そして18日は敬老の日。

 ところが暦を見て驚いた。敬老の日とは別に老人の日というのもあるではないか。

 小生の意識には、敬老の日というのはかつては9月15日に老人の日と呼んでいた国民の祝日が、名称を変え、第三月曜日になっただけのこと。つまり老人の日は現存しないと思い込んでいたのである。それがどういうわけか、暦の15日の欄には今も老人の日と記されているのだ。

 聡明な読者には、当たり前のことを今さらなにをグダグダ言ってるのかとお思いだろうが、一応説明すると、敬老の日は「祝日法」という法律で定められた国民の祝日。対する老人の日は「老人福祉法」によるもので9月15日に定まっているという。

 敬老の日は国を挙げて年寄りを祝う日であるのに対して、老人の日は祝うのではなく、老人自身が元気で活き活き暮らすことを促す日とされている。

 ところで「老人」という言葉を辞書で調べてみると、年とった人、年寄りとある。

 では何歳からを老人と呼ぶのか。これについては特に基準を設けてはいないようだが、老人福祉法や世界保健機関(WHO) では、65歳以上を原則高齢者としている。

 この年齢が実情に適合しているのかどうか。年齢を感じさせない高齢者が増えてきた現在はなはだ疑問に感じることもある。

 かく言う小生も、昨年運転免許更新前の高齢者講習を受けさせられた。なにか人格を否定されているような厭な気がしないでもないが、同年配の他人を見ていると、たしかに動きは年寄りのものである。

 鏡を見ても、年を取ったとは思う。でも気力だけは若い者には負けない。そうは思っても体力はついていかない。

 ならば、「老人」ではなく「朗人(ろうじん)」として生きていこうではないか。活き活き暮らすことを目指し毎日を朗人の日として。