1月の法話 凧揚げ(たこあげ)/日 慧

P1050923 新年を迎え、皆々様のご健康とご多幸をお祈り申しあげます。

 お正月というと、私どもの年代にとって、コマ回しに羽根つき、凧揚げなどが浮かんできます。中でも凧揚げは、先代である父が子供相手に揚げてくれ、糸がたりなくなって大急ぎで太い木綿糸を足したのを思い出します。大空に舞い上がり小さく小さくなった凧を、糸一本で操るのは実に爽快な体験でした。

 凧揚げは風との対話だと思います。風の強弱や方向を感じ取り、風がなくなれば軽く糸を引き、風にあおられれば逆に糸を繰り出したり、調整をしないと凧は空中に舞ってくれません。風の微妙な語りかけに対して、こちらも速やかに反応することが大事なのです。そのためにはまず足場をしっかり固めておかなくてはなりません。空き地や田んぼなどで凧揚げをするときは、特に足下をしっかり確かめておかないと、つまずいたり転んだりします。

 でも一番大事なことは、丈夫な糸を使いこれをしっかり保持して操るということです。「糸の切れた凧」という表現がありますが、方向が定まらずどこへ飛んでいくか、いつ落ちるか判らないものの代名詞になっています。こちらの意思をしっかり伝えるのも、最後はこの糸一本にかかっているのです。糸を通して操者の意思を明確に伝える。この基本を守らないと、凧はうまく風に乗って上がってくれないばかりか、急激に落下したり、ひょろひょろと何処ともなく飛び去ってしまったり、ということになってしまいます。

 振り返って我が身を見たとき、昨年の自分の姿はどうだったでしょうか。中々高く上がらなかったり、あせった挙げ句の急激な糸の引きで逆に落下してしまったり、あるいは糸を離したり切れて風に流されてしまったり、とそんなことはなかったでしょうか。

 新年を迎えまずは足下を固め、慎重に風向きを読み、意図(目標)を明確にして、大空を存分に舞い飛んでみようではありませんか。