2月の法話 イスラム教/服部憲厚


 世界第二の宗教、イスラム教の人口は、十六億人。十数年後には、世界の四人に一人がイスラム教徒となると言われています。しかし、日本では馴染みがなく関心事にされていません。

 先日私は、このイスラム教のモスク(教会)に行く機会を得ました。たまたま神戸北野にある異人館街に行った時、このモスクを発見したのです。

 外国人居留地だったこの街は、オシャレな洋風建築の街並みが今に残り、人気の観光地です。そんな洋風な街並みに、突如アラビアンナイトを思わせる立派な建物が現れます。「神戸ムスリムモスク」日本で初めて建てられた、イスラム教の教会です。馴染みのないイスラム教を、体感できるよい機会だと思い見学させて頂きました。

 礼拝堂は吹き抜けで、大きなシャンデリアがぶらさがっているだけ。像や祭壇は勿論なく、絨毯が敷かれたガランとした空間が広がります。正面中央は、壁が半円状に窪んでいました。この遥か数千キロ先に、聖地メッカがあるのです。偶像崇拝をせず、ただ聖地に向かい日に五度の祈りを神アッラーに捧げる純粋無垢なる信仰。過激な原理主義が、極少数の異端であることがここに来れば分かります。イスラムの日常を感じ取れる貴重な時間でした。

 ところで、日蓮宗の檀信徒の方からこのように「他宗の神社仏閣に行ってもいいの?」と聞かれることがよくあります。私は大いに行くべきだとお答します。

 若き日の日蓮聖人も、東へ西へ諸宗様々にその門を叩き研鑽を積まれているからです。「先ず浄土宗・禅宗をきく。其後、叡山・園城・高野・京中・田舎等処処に修行して自他宗の法門をならひしかども、我身の不審はれがたき」(『破良観等御書』)

 お題目の信仰は、机上の空論ではありません。日蓮聖人が諸宗を実際に歩き、学び、苦悩した日々が土台となり、打ち立てられた御教えです。祖師の姿に習い諸宗を歩いてみるのもいいものです。