3月の法話 親の愛/植田観龍


 『いや・あかん・まんま・ねんね』これは、最近長男がしゃべり出した言葉です。私たち親が子供に話しているうちに自然と覚えていたようで、これはこうだよとか、何かしてちょうだいとか、危ない事をしたりして注意すると冒頭のように言います。『お父さん、お母さん』と話す前にこんな言葉を覚えていることにびっくりしました。知り合いの保育士さんに、いま我が家はこんな状況です、と話すと、しっかりスキンシップが取れてる証拠だと褒めていただきました。

 さて、皆さんは子育て四訓というのを聞いたことがありますか?『①乳児はしっかり肌を離すな②幼児は肌を離して手を離すな③少年は手を離して目を離すな④青年は目を離して心を離すな』これは山口県に住む教育者の方が長年の教育経験をまとめたものだそうです。

 近年、子供たちの問題行動は、人間愛、親子愛の欠落に起因している部分が多いと言われており、子育て四訓を見ると、改めて親の愛の大切さを痛感します。

 そんな親の温かい眼差しと心持ちでいつも私たちを見守ってくださっているのが仏さまです。法華経には仏さまが父のように私達を見守ってくださること、また、仏さまだけが本当に私達を救ってくださることが説かれています。

 仏さまはそのように私達を常に見守り救おうとしてくださっているのですが、子供が親の愛のありがたさに気付かないように、私達も仏さまの助けに気付かない場合が多いのです。

 仏さまはいつも私たちに肌も、手も、目も、心も離さず見守ってくださっています。このことを忘れず、常に意識するように心がければ、それに気付くことができ、私達もまた必ず救われるのです。

 仏教とは、心を豊かにする教えです。仏様が私たちを救ってくださるそのお心に『いや・あかん』などと反発せず、親に甘えるようにその温かい懐に包まれ、飛び込んでみてはいかがでしょうか。