5月の法話 今、この場を大切に/宮本観靖
五月となり、朗らかな季節となりました。旅行や行楽にぴったりなこの時期、爽やかな雰囲気とは対照的に話題となるのが、五月病と言われるものです。
重症になるとうつ病にも陥ってしまう事もある五月病ですが、一般的にはやる気が出ず体がだるい、ついダラダラとしてしまう。といった症状が多く見られるようです。
今春小学校に入学した息子も休み明けになると、欠伸をしながら「何となく体がだるいなぁ」と、ピカピカの一年生らしからぬ発言している始末です。
この時期だけに限らず人は一旦やる気をなくすと、ずるずると怠けてしまう傾向があります。一旦心に広がった怠惰な気持ちは、なかなか追い出す事が出来ず
に、やるべき事も「明日でいいか」「次でいいや」とつい先延ばしにしてしまいがちになります。
私がそんな時に思い出すのが、「法華経」で仏様がお説きになられている「當知是處 即是道場(この場は道場であると知りなさい)」というお言葉です。道場とは、今では習い事や武道を教える施設という意味が一般的ですが、元々は仏様が悟りを開かれた場所であって、仏様を供養し、我々が悟りを開く為の修行をする場を意味します。
そんな神聖な場である道場は何処にあるのか?「法華経」ではこの経を信じて修行する者がいる所は家庭や職場、その人のいる所、生きる所がそのまま道場であると示されています。
つまり修行する気持ち、やる気さえ出せば日常の場がそのまま道場となるのです。自分の今居る場所を素晴らしい道場に出来るかどうかは、私達の心がけ次第というわけです。
「何かやる気がでないなぁ」と感じても、そこで怠け心を断ち切り、一念発起して気持ちを切り替えればその場は道場となるはずです。その為の切り替えスイッチを探してみてはいかがでしょうか。手を合わせ、静かに自分の心を見つめ直してみてください。必ず見つかることでしょう。