8月の法話 おいしい野菜の秘密/植田観肇

 夏は野菜のおいしい季節だ。子供の頃は特に野菜がおいしいと思ったことは無かったように思うが、歳とともに味覚が変わってくるのか品種改良でおいしい野菜が増えてきたのか。

 先日、知り合いのおばあさんに頂いた野菜がとてもおいしかった。聞くと農薬を使わず有機農法で育てているという。

 有機農法とは化学肥料や化学合成農薬を使わず天然由来の肥料などを用いて、自然の仕組みに逆らわない農業を目指すものだ。

 農薬を使わないと虫を捕ったり雑草を抜いたりと通常の農薬を使った農法に比べてかなりの手間がかかるが、その分安心安全で都市部でも需要が高い。

 高齢で量産はできないが小さな畑で種類を多くし新しい野菜にもチャレンジしているそうだ。自分の作った野菜を必要としている人がいる。それが嬉しいのだという。農薬を使うことの是非は私にはよく分からないが、毎日手間暇をおしまず世話をし、大切に育てているのだから、これはおいしいはずである。

 また、有機農法は食べる人においしく優しいだけではない。そこに住む動植物や環境にも優しい。消費者や環境などの周りが幸せになることで、自分もまた生きる道を見つけて幸せになるという構図はまさに法華経の心ではないだろうか。

 日蓮聖人は立正安国論のなかで「一身の安堵を思わばまず四表の静謐を祈るべき」とおっしゃっている。 解釈によっては全体主義にとられかねない言葉だが個人が全体の為に滅私奉公するということではない。

 人はついつい自分の事だけに目が行きがちだが、自分一人だけの幸せを考えるのではなく、社会や周りの幸せも考え行動すれば、それは必ず回り回って自分に返ってきて、結果もっと幸せとなる。

 人は誰しもいろんな都合や事情があり生きている。思うようにならないこともあるかもしれないが、胸に手を当てて思い返した時、あなたのその行動はどうだろうか。