化城喩(一)
続いて化城喩についてみていきます。化城喩は「化城喩品第七」に説かれる比喩です。多くの人々が、智慧もある隊長に連れられて、遠い国へ珍しい宝を求めて旅に出ました。
しかし幾日も幾日も困難な道が続くので、やがて隊員達は疲れ果て、隊長に「もう帰国しよう」と迫ります。しかし隊長は隊員達を巧みに宥めて神通力で立派な「幻の城」を出現させました。
その城を見て、隊員達は喜んで城内に入って休憩し、
元気を取り戻しました。中にはここが目的地であると思い込む者もいました。隊長はその様子をみて一同に告げました。「この城は幻の城にすぎない。
私はあなた方が疲れ切って故郷に帰りたがっているのをみて、方便でこの城を仮に造ったのだ。本当の宝はもうすぐそこだ。さあ、前進しよう」と。