1月の法話 新年を迎えて/日 慧

一年経つのがなんと早く感じることでしょう。

学生時代の友人も同じことを言ってました。

「もういくつ寝るとお正月……」

子供の頃は楽しいお正月を前にして、早くこの日が来ないかと思っても中々その日にならない、待ち遠しい思いにジリジリとすることもありました。

それが今は、もう一日いやせめてもう一時間欲しいと思うこともしばしばです。

子供の頃と違って、片付けなくてはならない仕事が増えたということもあるのでしょう。

でも先日テレビでは、子供は好奇心が旺盛で、何によらず興味を持ってみる。対して、歳を重ねると感動を持つことが少なくなってきたためだと説明していました。

たしかに何事にも興味を持って取り組むと一つひとつの見聞も充実し、深い感動を胸に起こして取り組めば充実した時間を過ごすことができ、ふと我に返ってまだ時間が少ししか経っていないと気付くことになります。

同じ一日でも長い一日になることでしょう。

成るほど年齢とともに感動することが減ってきています。

美味しいものを食べても、以前にも食べたことがあれば、初回ほどの感動は湧いてきません。

美しい光景を眼にしても、初めて接したときの感動とは違います。

大人になるに従って素直な心が失われていくのかと思うと、ちょっと寂しくなります。

しかし、この世には、まったく同じことの繰り返しはありません。

仏教では諸行無常=万物は常に変化して少しの間もとどまらないといいます。

今見ている光景は、十年前と似てはいても違うものですし、十年後にも同じ光景が続くものではありません。

昨日の続きが今日ではないし、今年は去年とは違うのです。

振り返って見れば昨年は不安定な世界情勢の中、悲喜交々の出来事が去来した一年でした。

新たな年を迎え、平和で誰もがのびのびと暮らせる世界の実現と、皆々様のご多幸をお祈り申し上げます。