1月の法話 午年に寄せて/日 慧


 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申しあげます。

 今年は午(うま)の年。子(ね)丑(うし)寅(とら)と始まる十二支の真ん中。いわば折り返し地点となります。転換期となる時で、正午を境に太陽は穏やかに照るように、荒れ狂っていた物事も落ち着き、次第に鎮まっていく時期と考えられます。

 ただ馬は時に跳ね回ることがあります。世の中はめまぐるしく動き回るかもしれません。振り回されることなく、しっかり手綱を取って進めば宝処に至ることができるでしょう。

 ところで、馬といえば妙見様。能勢妙見山の境(けい)内(だい)に入ると、たくさんの馬の像を見かけます。そこで妙見大菩薩とお馬さんの関係を聞かれることがあります。

 これについてはいくつかの理由があります。その一つは妙見様が、多田源氏の血を引く能勢家の守護神であることから、その乗り物として神馬を供えたというものです。古来、仏神に馬を奉納すると願い事が成就するとされ、生きた馬が無理でもせめて絵に描いた馬でもと「絵馬」を奉納する習慣が生まれました。

 また妙見様が祀(まつ)られたのが十五日の午の日であったことから、十五日を縁日とし、また午の日にお詣りすれば願いが叶うといわれることによるものです。

 妙見山上の境内には馬の像が八体あります。それは妙見様がもとは北極星信仰に始まることによります。天界の一点を指し示す不動の北極星(妙見大菩薩)は、この世の吉凶を司る星の王とされ、その回りに仕える星が北斗七星です。さらに北斗七星には、輔星(ほせい)(アルコル)と呼ばれる小さな星がついています。この八星になぞらえて、八体の神馬像が納められているのです。

 八つの神馬を廻ると、その人の願い事を神馬が妙見様に伝え聞き届けてもらえるとされています。是非一度、ご神馬巡りをして、開運隆昌を願い、福を授かって下さい。ただし、八つ目の輔星にあたる神馬を見つけるのは、ちょっと難しいかもしれませんよ。