1月の法話 新年を迎えて/日 慧

 新年明けましておめでとうございます。

 世界的な経済事情の悪化の中、先行きへの様々な不安が感じられますが、新たな年を迎えると、やはり何となく気分も改まり、今年こそは良い年になって欲しい、良い年にしたいという思いが高まります。

 会社を経営するKさんは古くからのご信者です。月参りされていつもご祈祷を受けていかれるのですが、ある時その内容が気にかかりました。ご家族それぞれの御札と自分の会社の御札を申し込まれるのはわかります。しかしその他にも、必ずいくつかの会社の事業繁栄を願ってご祈祷されるのです。ご自分の会社ではないのにどういう訳があるのか、失礼なこととは思いながらたずねました。

「実はウチの会社のお得意さんなんですわ。得意先が元気ならウチも元気でいられますから」

 微笑みながら答えるKさんです。まったくその通りです。遠いアメリカの経済事情がそのまま日本にも押し寄せてくる今の世の中です。自社だけが独りで成り立つものではありません。

 互いが他の力となって支え合っているのがこの世の在り方だとは釈尊が古くからお説きになるところで、「縁起」という言葉で表されています。人は自分一人で生きていくことはできません。お互いに持ちつ持たれつの関係で生かされているのが私たちなのです。それにもかかわらず独りよがりで自分の利益だけを追い求め、他を顧みない生き方をするものが後を絶ちません。これでは自分ばかりか他の人をも傷つけることになり、ついには世の中全体を破壊してしまうことになりかねません。昨今の世界は正にそんな状況を呈しつつあるかに感じられます。

 まず他に支えられている自分、そして互いに支え合う世界・社会の仕組みを見つめ、他を支えることのできる自分=他に対してできることを精一杯尽くす自分になること。誰もがそうなればきっと世の中は変わっていくはずです。それが仏の教えを生かすことです。