11月の法話 エコとは?/新實信導
エコバッグ、エコポイント、エコライフなど、最近では「エコ」がつけば流行の先端を行っている感じがする。
エコとは、エコロジーが元来意味する環境と生物の関係を研究する「生態学」であったが、近年、環境破壊や資源枯渇が問題になり、環境保護や自然調和を意味し、これにエコノミー「経済」「節約」の意味が加わったようである。
このエコも昭和二十年頃までの日本では当たり前で江戸期から実に優れたエネルギー事情を誇っていた。その究極のエコが囲炉裏であった。
天井の高い大きな部屋の中央部分に床を正方形に切って灰を入れ、その中に火を燃やす構造で、備え付けの大きな四角い火鉢のようなものである。
また暖房だけでなく、串に刺して食べ物を焼いたり、自在鉤(じざいかぎ)という火と距離を自由に調節できる吊り棒でヤカンや鍋などをかけて湯沸かしや煮物もできた。
さらに、行灯の代用にもなり照明の役割を果たした。同じ火を使い、暖房・乾燥・炊事・照明までもできる優れものであった。
ところで囲炉裏は、機能以上に暖まる要素を備えていた。つまり、家族団らんである。
家族が火を囲み同じ物を分けながら食することで、家族の絆が強まり、身も心も温もって家族としての基本的な生活習慣が養われていた。
しかし、このような生活習慣も戦後、西洋文化の影響で次第に失われ、個人主義的な生活習慣が取り入れたが、心の幸せを得ることは無かった。
エコのおかげか、現在では生活習慣を見直す時期に来ている。家に囲炉裏を設けることは無理でも家族との団らんは可能である。
仏教教団の始まりは仏を信奉するもの同志が集まって生活を行い、仏の教えを弘めるため教団を形成していった。
一人の力は微力でも、同じ志を持つ物が集まれば、必ず事を成しとげることができる。
一人よりも二人、二人よりも三人、十人、百人…となれば、必ずや最終の目的である仏国土が成就する。そのためにもまず、家庭からである。