2月の法話 人生の時間/新實信導

私たちの一日を三等分してみると、睡眠が八時間、仕事等の労働が八時間、残りの八時間を趣味や娯楽にあてるのが理想とされる。

睡眠は肉体を維持するためにも不可欠なもの。統計的には七時間以上、八時間未満の場合に平均余命が最も長くなるそうである。ところが最近、日本人の平均睡眠時間が七時間を切り世界で最短であるという調査結果も出たという。また、衣・食・住の生活を経済面から支えるために労働は必要なものである。

昨年十二月に(株)クラレが「現代家庭の情報生活」に関する調査結果を発表した。それによると自宅にいる時に長時間見ているものを選んだら、夫はテレビ、妻はパソコン、家族の顔は3~4番目。また主婦は平均して一日約三時間ほどテレビを視聴している。パソコンは二時間、携帯電話は三十分、合計すると一日で約五時間半に達している。一方、新聞・雑誌・本を合わせても、時間は三十分足らずという結果も。

テレビ・パソコン・携帯というディスプレイ生活の増加が睡眠や労働時間を圧迫し始めている。これ以上増加すれば、社会的な問題になりかねない。本来、人生の糧となる時間がただなんとなく費やされている。

「人として生まれてくることは難しく、爪の上の土のように極めて稀なこと。また人の命は、はかなく、草の上の露のように保ち難い。ただ漠然と百年以上長生きし、名を腐らせて死ぬよりは、仏法のためによき信者として、世の中のために、人々に称讃される一日の生活をおくることこそが大切である。(『崇峻天皇御書』)」

これは日蓮大聖人が私たちに教示されているお言葉である。人間として生まれてこれたのは前世から願ってきた結果である。ならばその仏法のご恩に答えるためにも仏の子として一日一日を精一杯生きて世の中に貢献できることが人間として大切なことだと。

人生の三分一をいかに活用するかがその人の価値を高めることでもある。