2月の法話 公園デビュー/宮本観靖

先日ついにデビューしました。といっても公園デビューの話です。

幼い子を持つ新米ママが初めて子供を連れて公園に行くと、その公園の主(ぬし)となっているママ達に新参者として扱われてしまう。と噂されている公園デビューです。

それは出先の公園での出来事でした。車を運転中に大きな公園を見つけた私は二歳の息子の手を引き公園に入りました。すると、多くの子供達が遊んでいる中で、おしゃべりをしていた数人のママ達が一斉に私を凝視したのです。

話を続けながらも常にこちらを観察し、値踏みされているかの様な、なんとも居づらい雰囲気です。例えるなら、旅先で常連さんばかりいる小さな居酒屋に入った様な感じでしょうか。

いつも行く貸し切り状態の様な近所の公園に慣れていた私は、砂遊びをしている息子に「もう帰ろうか」と言い、そそくさと退散してしまいました。

後から考えると公園のママ達も悪気はないのでしょうが、自分達が慣れ親しんだ所に突然来た見慣れない者に対し、違和感、不信感を覚えた様に思います。

考えれば、私達は感じ方、考え方、行動までも一度一つのことに慣れると、新たな出来事、新たな考えを取り入れるのに抵抗を感じることがよくあります。

それは、無意識のうちにも「自分の行動、考え方が正しいのだ」という思いがあるからではないでしょうか。「正しいのは私」という思いがあると、最初から人に対して壁を作り、その人の行動、意見が素直に取り入れられなくなります。

法華経のお自我偈には、「心が穏やかで素直な者は仏様のお姿を見、説法が聞くことができる」と説かれています。逆に言えば、自分が正しいという我執で壁を作っていれば、仏様のお姿も、お話も心に届かないという事になります。

人の意見を聞く耳を持ちそれを取り入れられる素直な心を持つ。そんな心に成っていけば、ほんの少しのきっかけで新しい自分を発見できるかもしれません。