8月の法話 ご先祖との語らいを/日 慧

ペットを飼う人が増えているそうです。コロナ禍で在宅時間が長くなったためとも言われています。

イヌ派とネコ派があるようですが、私は物心ついたときからずっとイヌとともに過ごしてきました。

ただ今のようにペットショップで買うのではなく、知人から子犬をもらったり、捨てられたイヌを家に置いたりと言うことで、ほとんどがいわゆる雑種でした。

一度だけ、血統書付きの素晴らしいイヌを戴きました。血統書には、3代前までの名前が連ねられています。

いずれも由緒正しいドッグショーで評価されており、その経歴を辿ることができるものでした。

すごいなと思いました。何がすごいかというと、うちに来たワンコの曾祖父母の経歴までが記されているからです。どこで生まれて誰に育てられたかなどが、これを見れば判ります。

転じて私たち人間に目を移して見ましょう。3代前というともう「ご先祖」と言っていいでしょう。祖父母までは身近に感じても、曾祖父母となると、私は写真でしかお目にかかったことがありません。それも直系の曾祖父母だけです。

3代前とは、父母の父母の父母、全員をさします。合計8人の曾祖父母たちがいることになります。

でもその人たちのことを私はほとんど知りません。

しかしこちらが知らないといっても、曾祖父母の皆さんから見れば、私は子孫なのです。

深い繋がりがあるのです。

どなたが欠けていても、今の私は存在しなかったのです。

いいえ、そればかりではありません。3代前どころか、5代7代と、私との深いご縁のあるご先祖はどこまでも遡っていくことができます。

そんな無量の父母たちがあって今の私がいるのです。

 宗祖は「目連尊者が法華経を信じまいらせし大善は我が身仏になるのみならず上無量生(かみむりようしよう)下無量生(しもむりようしよう)の父母等存外に仏となり給う」と説かれています。

今年のお盆では、是非たくさんのご先祖たちと、語らいの時間を持つよう心掛けて下さい。