9月の法話 良薬を頂きましょう/桑木信弘

 梅雨が明けて夏になりました。今年は例年よりも暑い日が続いたせいか、棚田の稲はいつもより早く実り穂先が垂れています。

 豪雨の被害や台風にも、暑さにも負けずに静かに根を張り続ける姿には逞しささえ感じます。私達の生活に欠かせないお米はヨネと読み、これは代根、代を繋ぐ根という意味合いもあります。

 以前ある小学校で、給食費を支払っているのだから「いただきます」を言うのはおかしいと保護者からクレームがつき、給食は笛の合図で食べたそうです。ですが、その場を想像してみると何か味気ない光景に思えます。やはり大きな声で元気よく「頂きます!」と言って欲しいですね。

 神道には古来より「神とは火水(カミ)であり噛である」という考えがあるそうです。

 森羅万象は火と水が噛み合うことで生じ、この二つを結びつけることが呼吸(水火/イキ)だそうです。そこから、神=噛にて食を大切にし、呼吸と食を正す事で身と心を磨くと考えるそうです。

 さて、法華経には「舌根浄く悪味をうけず」と説かれています。一滴の水、一粒の米にも仏様の慈悲が込められております。生かされている恩に感謝して供養の心で食すなら、全ては良薬となります。

 良薬にも上中下があります。下は治療薬、中くらいが予防薬です。では上の薬はというと医食同源、やはり毎日の食事だそうです。

 食の積み重ねは人の運命を左右しますが、飽食の時代と言われて久しい我が国では、豊かな社会に見えてもどこか満たされずにいます。今こそ、身体の良薬だけでなく心にこそ良薬が必要ではないでしょうか。

 法華経には仏様の良薬が留め置かれており、そのエッセンスがお題目です。

 運命を司る星の神様「妙見さま」の息吹きと共に新鮮な空気を吸い込み、お題目で身も心も磨き、生かされる恩に報いんと祈り生きる奉仕の浄行に努めたいものです。