2月の法話 小豆(アズキ)/新実信導


 「マメに暮らす」「マメに働く」「マメマメしい」このマメを漢字で表記すると「忠実」。忠実とは、まじめによく働くこと。体が丈夫であること、という意味である。

 マメは豆類の総称であり古来から忠実にかけて縁起を担いだ。コロコロと真ん丸い状態を人の健康体にたとえ、丈夫で明るく暮らせることが理想であった。

 豆類の中で有名なのが大豆であるが、古代においてアズキが大豆よりも重要視されたようである。アズキが尊ばれた理由は、赤い色素にある。赤は魔除けの色であり、悪霊から身を守ると信じられていた。またアズキは、神さまを迎えるためのおめでたい豆であり、祭りや神事に欠かせないものであった。本来アズキは神様の食べ物であるが、人が食することで豆の霊力を頂戴しているのである。

 ところで、豆類の中で高タンパク質なのは大豆で一〇〇g中三五g含まれているが、アズキは二番目に多く二〇gも含まれている。また疲労回復に必要なビタミンB1が豊富で〇・四五㎎、ビタミンB2が〇・一六㎎。血液の循環をよくし脳神経の働きを助けるナイアシンが二・二㎎。若返効果のあるビタミンEが〇・一㎎。そして食物繊維が一八gも含まれている。カリウムは一五〇〇㎎もあり、体内の余分な塩分や老廃物を排泄する。サポニンは高い利尿作用があり体のむくみに効果がある。さらに若さを保つ亜鉛が二・三㎎含まれ、まさに食べる薬だ。

 能勢妙見山では、古くから初午(旧暦二月午の日・今年は三月十二日)には、赤飯を妙見大菩薩様をはじめ、諸堂にお供えする。また毎月二十二日の鴎稲荷大明神様の御縁日にも赤飯をお供えしている。

 日本人が古くから、アズキを尊重してきたのは、家に神様を招き厄を払い、神様と共に食事を頂戴する。健康は神様から与えられるという信仰に基づくものである。そこには先人たちの健康管理というべき智恵があったことを私たちは感謝すべきであろう。