7月の法話 願いと誓い、そしてご守護/日慧

「オゥ、これでボクは速く走れるようになったぞー」

興奮した様子で御守りを握りしめて、その男の子は叫びながら部屋中を走り回ったという。

能勢妙見山では、今年も四月二十九日に星嶺祭子供祭りが開催された。但し今年は新型コロナウィルスの影響でイベントは中止。祈願法要も参拝者なしで行われた。

その代わりに新しい試みとして、ご祈祷を申し込んだ子供たちには「誓願紙」というものを送った。

これは自分の一年間の努力目標を妙見様への誓いとし、またそれが達成できるよう妙見様に守っていただこうという願い(誓願)を書いてもらうものである。

この「誓願紙」を送り返してもらい、その誓願が妙見様に届くよう、本人の書いた「誓願紙」を子供自身の身代わりとして妙見様のご宝前で毎日ご祈願する。

そしてこの誓願紙をさらに御守り袋に入れて再び子供たちに届けたのである。

つまりこの御守りには、子供たちが自分で決意した誓いと、それを達成できるよう見守って下さる妙見様の守護のお力の二つが籠められているのである。

ある子供さんの父親からお礼の電話があった。

「妙見様から戴いたパワーで、もうこれで走るの間違いなく速くなったんだと、興奮していました。」

コロナ禍で自粛中の家の中ではあるが、家族みんなが大騒ぎして悦んでいる様子が目に浮かぶようだ。

そこで気になったので、妙見様のご宝前においてある「誓願紙」のコピーを繰ってみた。

「○○はもうすぐ6さいになる。はやくはしれるようになりたい」

たどたどしいけれど力強い、一生懸命書いたに違いない「誓願紙」があった。

願いというものは、自らが妙見様に誓いその目標に向かって進もうとする意志と努力があってこそ、叶えられるものである。

妙見様と男の子、離れていても心の絆によってしっかり結ばれ目標が達成されるよう、私たちも力を添えたいと、心から願っている。