4月の法話 心を合わせて乗り切ろう/日 慧

この度の東北地方太平洋沖地震にて被害を受けられた皆様方に、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早く穏やかな生活が取り戻せますことをお祈り申し上げます。

人生には楽しいこともあれば、辛く悲しいこともあるとは、昔から言われていることではありますが、この自分が、なぜこんな目に遭わなくてはならないのかという思いは、決して消えるものではありません。

学校の試験なら、努力すればしただけの成果を上げることができます。しかしたとえば明日の天気など、自分の力ではどうしようもありません。では、いくら努力してもどうにもならないということに対して、私たちはただ為すすべもなく全てを受け入れるほかないのでしょうか。

仏の教えに、「四諦」があります。「諦」はあきらめるのではなく、明らかにするという意味です。苦・集・滅・道という四つに分けて物事を見つめ対処しようというのです。その1、苦しいと言うだけではなくその現状をしっかり把握すること。2に原因を探る。3にどうすれば解決できるかを考える。そして4、その方策を実行すること。

各地の被災地の様子を報道で目にするにつけ、何か手伝えればと考えるのが、誰もの思いです。しかしどうすればいいのか、中々先が見えない状況です。慌てたり、悲観するより、まず現状の正確な把握とそれに基づく冷静な判断、そしてそれを伝え実行する力が大切だというのです。

私たち人間は自然の強大さに比べれば、あまりにもひ弱な存在です。しかしながら、人間は文字通り人の間に生きるのであり、仲間と共に生きる存在です。独りの力は微少でも、互いに助け合い、励まし合っていくことのできる同胞が、私たちにはいるのです。国全体が心を一つにして立ち向かっていけば、必ずや危機を脱し困難を乗り越えていくことができると確信しています。被災地の方々と共に、粘り強く歩みを進めていきたいと願っています。