6月の法話 はじめの一歩/相川 大輔

P1040729 まもなく私の息子も三歳になりますが、最近ようやく活発におしゃべりするようになってきました。子どもとの会話は実に楽しいものです。今思い出してみると最初に発したのは、ミルクを飲みたいという「マンマ!」という言葉でした。そして自分の名前や「おかあたん」「おとうたん」「だっこ」などの言葉を段々に覚えていきました。

 このような子どもの成長の様子は、私達の法華経信仰と実によく似ていると思います。と言いますのは、私達は日常的にお経を唱えたり写経をしたりお経の内容を勉強したりと、色んな形で法華経を信仰していますが、おそらくほとんどの方は、初めは御題目を唱える「唱題」から法華経信仰に入り、そして徐々に信仰を深めていかれたのではないでしょうか。

 日蓮聖人は御題目を例えて、お母さんが赤ちゃんに飲ませるお乳だとおっしゃっています。赤ちゃんはお乳がどんなものなのかは全く理解していませんが、空腹を満たすために一生懸命お乳を飲んで成長していきます。御題目もこれと同じで、唱題によってどうして私達が功徳を積むことができるのかを十分に理解していなくとも、一心に唱題することで諸天善神の守護を受けることができ、あるいは人間的成長を遂げることができるのです。

 ちなみに、なぜ唱題によって諸天善神のご加護を受けられるかと申しますと、法華経の中に、「妙法蓮華経」という経題を唱える者を守護すると大きな福徳を得られる、というお釈迦様のお言葉があります。このお釈迦様のお言葉を受けて、諸天善神が御題目を唱える私達を護って下さり、ご自身達も福を得、私達もまた護られることで福を得ることができるというわけです。

 ですから、一番大切なことは、とにかくまず御題目を唱えてみることではないでしょうか。「マンマ!」と言葉を発しないままではミルクを飲むことはできませんから成長できませんし、諸天善神も護りようがありませんから。