8月の法話 働く心/植田観肇
あなたは何のために働いていますか。
食べるためですか、家族のためでしょうか。就職活動中の学生なら自己実現のためや社会貢献のために働きたいと言う答えが返ってくるかも知れません。
では、働くとはどういうことなのでしょうか。
例えば、松下電器では商品の価格のことを「お役立ち料」と言うそうです。その理由は創業者である松下幸之助の以下のような言葉からも伺えます。
「商売というものは、暮らしを高め、日々をゆたかに便利にするために、世間の人が求めているものを、精一杯のサービスをこめて提供してゆくのである。だからこそ、それが不当な値段でないかぎり、人々に喜んで受け入れられ、それにふさわしい報酬も得られるはずである」
また、それとは別に商売を相撲に例えて、正々堂々と勝負することが大事であるとも言っています。せっかく強い力士も、卑怯な手を使ったりフェアでない戦いをしていたらファンも失望するし人気もなくなってしまいます。勝負であるからには勝たないといけないのですが、どんな汚いやり方でも勝てばいいと言うのではなく、勝ち方、負け方の内容もそれ以上に重要と言うことです。
日蓮聖人は信者さんへの手紙の中で「仕事を法華経の修行と思いなさい。全ての生活や仕事は法華経の真理と違うことはない」とおっしゃっています。
自分以外の誰かのために働くことは仏教においては菩薩行といい、功徳を積めると言います。
商売も生活も他の人のことを考えず自分勝手なことばかりしていては一時的にはうまくいっているように見えても決して長続きはしないものです。
情けは人のためならず、行き詰まってきたとき、ちょっと気持ちを切り替えて、あなたの身近な方のため、世界の誰かのために働き方を変えてみてはいかがでしょうか。
一生懸命頭を使って考え、精一杯のサービス込めて。