1月の法話 福をトリ入れトリ仕切ろう/日 慧

 新春を迎えてご挨拶申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申しあげます。

 今年は、丁酉(ひのととり)年。「酉」は成熟を表します。酉に「?」を付ければ「酒」になりますが、極限にまで熟し、よく発酵した状態を表すものです。

 酉はまた時刻でいえば午後の五時頃。夕方、一日の仕事が片付いて、帰途につくという頃合いです。つまり一日でいえば仕事の成果が見える。一年でいえば、春から育てて取り入れた収穫が全て蔵に納まる時期です。そこから、成果、あるいは頂点を表します。本年は頑張れば商売繁昌の年、長年かけてきた努力が実り最高の結果を得ることができる年だということです。

 酉年生まれの人は、直感力行動力に優れ迷いがなく決断が早いとされます。一般に社交的であり、人の上に立って取り仕切る親分肌の人が多いのが特徴です。

 ただその反面、外面は良いが本音を表さず意外に神経質で、プライドが高いといわれ、また決断が早いものの、すぐ諦めるという欠点があります。

 干支についてさらに見ていくと「丁(ひのと)」は文字通り火を表しますが、「丙(ひのえ)」が兄であるのに対しての弟の意味があります。勢いのよい火の性ですが、丙ほど勢いはなく、自らを駆り立てて粘り強く続けていかないと、大きな炎にはなりません。

 ということで、本年は計画を熟成させるのに最もよい年であり、計画が成れば積極的に活動に移し、大いなる成果を得ることができる年といえます。但し、一つ注意しなくてはならない大事な点があります。酉の欠点であるすぐ諦めるということです。事が熟すまで粘り強く、諦めずに取り組むことが肝要です。

 火のように燃えてもすぐ消えてしまうことがないよう、水の流れの如く、はじめ細くても、やがて大河となり大海となるよう、途切れることなく続けることが信仰の肝心だと、日蓮聖人の御遺訓にあります。何事によらず水のように続けることが大切です。