1月の法話 現世安穏を祈る/日 慧
新春を迎えてご挨拶申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申しあげます。
本年は庚子(かのえね)の年です。庚は万物の実れる様子を表す字です。秋になり見渡す限り黄金色に稲の実る田んぼの様子を思い浮かべることができます。
また子は文字通り人の子を表す字で、未来に向けて受け継ぐもの、あるいは果実の実を意味します。
近年、顕著になってきたのが、今までになかった大きな自然災害です。豪雨や豪雪等々。いずれも地球温暖化の様相が、私たちの目に見えるようになってきたものと言えます。
当山では、妙見山奥之院の井戸水ですが、一昨年の地震から出なくなってしまいました。ところが去年の夏になって、豪雨が続くと出るようになり、そののち秋になって雨が降らなくなるとまた渇水してしまいました。主に掃除と手洗いに使っていた井戸水ですが、別の水脈を探して新たな井戸を掘るか、昔ながらの雨水を溜めて使うか。名案は中々浮かびません。
ただいずれにせよ、私たちは自然の恵みを受けて生活することができるということを、身近に体験しているということがよくわかる出来事です。
この自然が温暖化により荒れていくのです。まだまだ災害が起こることが予測されているのです。何とかして食い止めなくてはならないと誰しも同じ思いを持っているはずです。にもかかわらず、実現に向けて進もうとは中々ならないのはもどかしいばかりです。そればかりか、災害に立ち向かうどころか、人間同士が互いに殺し合う、戦争が未だ続いているのです。さらに国を挙げて核兵器を保持し続けているのが現状ではありませんか。
日蓮聖人は「万民一同に南無妙法蓮華経と唱え奉らば、吹く風枝をならさず雨土くれを砕かず」と説示されています。庚子の本年、未来に向けて豊かな自然と平和な社会が受け継がれ、黄金色に輝くばかりの美しい世界が実現されることを切に願い祈るものです。