1月の法話 機一転/日慧
新春を迎えてご挨拶申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申しあげます。
昨年は地震、豪雨、台風と災害が続いた年でした。雨もほどよく降らないと困りますが、降りすぎても大変です。極端から極端へと激しく変化したのが昨年です。そう言えば、昨年の干支(えと)は戊戌(つちのえいぬ)でした。戊は物事の盛んな様子を表し、戌は頂点を迎えた状態で、この先はもう尽きたという状態つまり衰えを表す字ということになります。従って、戊戌の年であった昨年はというと、極端から極端へと移り変わる様子と捉えることができるわけです。
では、今年の干支である己亥(つちのとい)の年はどうなるのでしょうか。
己は「おのれ」とも読み自分自身のことを表しますが、横に糸をつけ紀とするとわかるように、紀律、きまり、おさめるという意味があります。絡み合った糸をほぐすように秩序を正すということです。そう考えると、昨年の災害などによる混乱をただして、今後の筋道を立てる、先行きへの糸口をしっかり見出す年ということになるのではないでしょうか。
次に亥という字ですが、すぐ思い浮かぶのはイノシシです。能勢地方は昔から野生のイノシシが多く成育しています。田畑を荒らして作物を食い散らかす。食べる物のない時期になると家の庭にまで平気で出て来ます。つい先日も、境内の苔が掘り返されて、まるで畑を耕したようになっていました。苔の下にいるミミズなどの生き物を食べるため掘り返すのです。
そんなイノシシですが、亥の字は草の根を表すもので、またきざすという意味があります。陽気が地面にきざして、草の根が萌え出そうとする、そんな力強い様子を表しているのです。
己亥の年である本年。ただ威勢がいいだけの猪突猛進ではなく、心機一転、昨年中に混乱した秩序を収め取り戻し、先行きをしっかり見つめて、新たな出発を誓い進めていく年とするよう、日々勤めましょう。