12月の法話 色心不二(しきしんふに)/小林 謙照

「お父さんこれ見て!」

子どもたちが持っている袋の中を見ると、校外学習で掘ってきたさつまいもが入っています。

「やっきいも!やっきいも!」オリジナル焼き芋ソングを歌いながら小踊りしている姿は、見ているこっちも楽しい気持ちになります。

子どもたちが掘ってきてくれたさつまいもで作った焼き芋の味は、上品な甘さと子どもたちの笑顔が相まって格別でした。

さつまいもの原産地は南米と言われていて、日本には一六〇〇年頃、中国の福建省から沖縄(琉球)宮古島に入ってきて、のちに九州地方(薩摩)で栽培されるようになりました。

もともと甘藷(かんしょ)や唐芋(からいも)と呼ばれていましたが、江戸時代起きた天保の飢饉で、徳川吉宗が救荒作物としてさつまいもを関東に広めた際、「薩摩(さつま)から伝わった芋」ということで「さつまいも」という名称が生まれました。

ちなみに、美味しいさつまいもを見分けるコツは、くぼみがなくて丸みがあり、皮の色が濃いものを選ぶといいそうです。

現代日本は飢饉とは程遠い飽食の時代と言われています。ですが、好きなものを好きなだけ食べるため、かえって栄養不足になっている方も多いようです。

当たり前ですが、からだは食べたものでつくられます。毎日元気に過ごすために、栄養のバランスを考えて食事を楽しみたいですね。

仏教では、色(しき)心(しん)不(ふ)ニ(に)といって、色(身体の働き)と心(心の働き)は二つの別のものではなく、切り離すことができない一つのものであると説かれています。

体調が悪く弱っている時はマイナス思考に陥りやすいし、体調がすこぶる快調な時は思考も明るくなります。食で身体を養うのと同じように、心にも栄養を与えて養う必要があります。

なにかと不安も多く気楽に外出しづらい今こそ、改めてお家でゆっくり仏教を学ぶ時間にして、心の栄養補給をしたいですね。お供にホカホカの美味しい焼き芋も忘れずに。