4月の法話 ストレスを味方にする/相川大輔

 四月を迎え、能勢もようやく暖かく、山々は益々青く、春の到来を感じる。この時期、読者のご家族のなかにも、小中高の学校や大学へ入学される方、あるいは新社会人となる方がおられるのではないだろうか。

 しかし、そういった新生活を迎えるためには、苦しい入学試験や入社試験をくぐりぬける必要があったのではないだろうか。筆者も皆さんと同じように入学試験や入社試験を経験したことがあるが、その緊張感といったらとんでもなく大きなものであった。

 現代心理学の中に「ストレスマネジメント」という考え方がある。それによると、そういった緊張はストレスが原因であるという。また、ストレスにはよい働きをする場合と悪い働きをする場合があるようだ。

 例えば、入学試験や入社試験以外にも、人前で発表したりスポーツの試合に出たりした時、緊張しすぎてしまい、頭や体が思うように動いてくれないといった経験をもつ方も多いと思うが、これはストレスの働きが悪い形で現れた場合だ。また、アスリートが公式試合で自己最高記録を出すこともよくあるが、これは、適度の緊張が集中力を高めてくれるためで、ストレスの働きがよい形で現れたということである。

 ストレスの働きにより、良い結果と悪い結果になる場合があるということだ。では、いったいどうすればストレスの働きをよくすることができるのか。それは小さな成功体験を積み重ねることにより、自信や達成感をより多く心で味わうことで可能となる。つまりは練習、訓練、日々の精進が強い心をつくるということだ。より多くの自信と達成感により心を練り上げていき、ストレスを味方にするということである。

 日々の精進といえば、合掌しお題目を唱える毎日のご本尊様、ご先祖への供養が浮かぶ。気付かずとも練り上げられた力は、人生の苦しい場面でその苦しさを味方に変えて、より心を強く鍛え上げることになるのではないだろうか。