8月の法話 食への感謝/栗原 啓文

 昨今、飲むだけで痩せるサプリ、付けるだけでお腹が引き締まるベルトなどダイエットに関する新商品が続々発売されている。それだけ日本人の美意識が高まっているということなのだが、実は私自身も一百日荒行の後の反動で暴飲暴食に走ってしまい、体重が十五キロ増え、必死で減量した経験がある。毎日スポーツジムに通ったがなかなか体重は減らなかった。そんなある日、私は一冊の本に出会った。その本のタイトルは『運気を上げる神様ごはん』。この本の著者は京阪線樟葉駅から徒歩十分ほどの場所にあるお食事処の店長C氏。このお店は訪れたお客さんが、難関大学の受験に合格したり、苦手な食材が食べられるようになったりといった体験をすることから、C氏は開運料理人と呼ばれている。

 詳細はここでは割愛するが、その本の中でひときわ私の印象に残った一文がある。それは「料理とは食材の命に人間が心をこめて、人間の命に変わる光を引き出す儀式。その光が燃え上がり、それを食べる人間の命の炎となってくれます。それを考えた時、ああ、ありがたいなぁ…という気持ちになるはずです。」この一文を読んで私は、自分の空腹を満たすためだけに食事をしていたことに気付かされた。そしてそれ以降は食に感謝し、節制した結果体重は減っていった。

 日蓮聖人は『事理供養御書』の中で「人は食によって生あり、食を財とす。いのちと申すものは、一切の財の中に第一の財なり」とお示しになられている。人間は食によって生を維持しているのだから、食こそが一番の財であり、そして生命こそ最も大切にしなければならない財である。だからこそ、私達は命の元になる食に感謝をする心を忘れてはならないのだ。

 先日C氏のお店へお伺いし、食材の光がお客さんの心を感謝で満たし、その心が開運へと繋がっているのだと確信できた。感謝する心を忘れずに日常生活を送る事こそ開運への一番の近道ではないだろうか。