9月の法話 苦労の後には/宮本観靖

 学校の夏休みも終わり、地域の子供達も元気に登校し始めました。

 そんな子供達に「久しぶり!元気にしていた?夏休みはどうだった?」などと話しかけるのですが、多くの子供達からかえってくるのは、「めっちゃ忙しかった~」という返事です。

 話を聞いてみると、塾などの夏期講習、習い事の練習、夏休みの宿題の自由研究等を作る体験型学習、そしてその間をぬっての帰省や旅行。スケジュールを話してくれるのですが、夏休みなのに休みなしで動いているという感じで、だらだら過ごしていた私の子供の頃とは違い、本当に大変そうです。

 しかし、子供達はそう言いながらもその実、嬉しそうな顔もしています。なぜなら、勉強なら苦手な科目がわかる様になった事や、水泳を習っている子は二十五メートル泳げる様になった事、野球をやっている子ならよく打てる様になった事など、自分たちが成長した事を実感出来ているからです。

 私の子供達でもみていると、出来なかった事が出来るようになって、苦手意識を克服した時は喜びと同時に自信がついた顔つきとなり、成長したなと感じることが出来ます。

 もちろん出来るようになるには失敗や苦労もしていますが、こんな時いつも思うのが、法華経に説かれている「化城の喩え」です。
それは歩き疲れて諦めかけた私達の為に、仏様が仮の城を作られ私達を休ませてくれる。私達が元気を取り戻すと仏様は目的地を示し「さあ、あと少しだ。頑張ろう」と励ましてくれる。というお話ですが、子供達を見ていても、一生懸命やって諦めかけた時に少し上達する。それをきっかけにどんどんと進歩していく。という事がよくあります。

 そしてこれは子供達だけのことではなく、私達にもいえることです。真剣に一生懸命やれば、仏様は必ず私達を導いて下さいます。

 その事を、いつも子供達の笑顔から教えてもらっているのです。