11月の法話 まずは他に笑顔を/日法(先代山主)
蔵を整理していたら先代の原稿が出てきたので、今月は先代日法上人の原稿をご紹介します。
「まずは他に笑顔を」 日 法
日蓮聖人は「上野殿御返事」に「花は開いて果となり、月は出でて必ず満ち、燈は油をさせば光を増し、草木は雨ふればさかふ、人は善根をなせば必ず栄ふ」とお教え下さっている。
即ち、私たちが光を増すような人生を送るには善根を尽くさねばならぬ、とおっしゃっておられるのである。
善根を尽くすためには、まずは自分自身が周囲の人々や周囲の色々なもの、またご先祖様によって支えられ生かされていることに気づかないと、なかなか善根を尽くすことはできない。
その上で、自分自身を幸福にしたかったならば、まず自分から先に他に対して笑顔を向けよ、親切をつくせと言われているのではなかろうか。
例えば、タライに張った水を自分の方へ引き寄せようとするには、まず水を向こうへ押しやることだ。押しやれば水は必ずこちらへ来るものである。それと同じことである。
一本の木が立っている。それは私たちの目には見えないが、根があるから立っていられる。大きな樹になればなるほど、その根は太く大きく長く、地下に張っているものなのである。これは一本の草にしても同じである。
一本の草や、一本の木にしても私たちの目に見える地上にあるだけのものでは立っていることさえできないであろう。土があり、根があることによって、根から土を通して種々の栄養分を吸収して、大きくなり、初めて立っていることができるのである。
私たち人間も同じで、自分自身がしっかりと立派に立つためには、立派なしっかりした根がなくてはならない。即ち、善根をなさなくてはならないのである。
私たち人間も、善根をなすことによって、輝きを増し幸福を招来することができるのである。