9月の法話 UFO/植田観肇

 4年ほど前からたびたびUFOを呼ぶ機会を頂いている。といっても、怪しげな団体に勧誘されたわけではなくアートイベントの一環なのだが。いるかどうか分からない何かに向かってみんなの思いが集まっていく様はまるで芥川龍之介の小説「竜」のようだった。しかもこの時、飛行機ではない光を見たという人も。

 UFOは日本語で言うと未確認飛行物体という。だが、これは外国が発祥という訳ではなく、江戸時代の日本でも目撃されている。石川県羽咋市にもUFOにまつわる江戸時代の文献が残っており現在もUFOで町おこしをしている。

 羽咋市のUFOは『そうはちぼん伝説』として知られるが、「そうはちぼん」とはお盆や大きな法要の時に使うシンバルのような仏具で、シンバルよりも持ち手のところが大きく膨らんでいる。横にすると、それはまさに皆が知るUFOのフォルムだ。文献によるとこれが夜な夜な妖しい光を放ち、羽咋市の空を飛んでいたらしい。

 日本のUFOらしきものはこれだけではなく、江戸時代よりさらに遡る鎌倉時代、神奈川県でも目撃されている。

 時は文永八年九月十二日の深夜、日蓮聖人が龍ノ口の刑場でまさに首を切られようとしていたそのとき。「江ノ島の方より満月のような光ものが飛び来たって首斬り役人の目がくらみ、畏れおののき倒れ」(日蓮聖人の御遺文より)斬首の刑は中止となった。皆が知る龍口法難の一幕だ。この「光もの」の正体が何なのかは未だに不明だ。だが、もしかすると当時の日蓮聖人を助けたいという人々の必死の願いや祈りがこのような「光もの」を呼んだのかもしれない。

 日蓮聖人は、異体同心なれば万事を成し、同体異心なれば諸事叶う事なしとおっしゃった。私達の願いは法華経を世界中に弘め実践することで平和な世の中を実現することだ。この大きな願いを成就するため、皆の祈りを一つにして共に取り組んでいきたい。