7月の法話 挨拶の布施行/川添裕資
皆様初めまして、今回から信友を書かせて頂きます川添裕資と申します。以後宜しく御願い致します。
世界中の皆さんが朝起きて最初の言葉は、何と言ってもまず「おはよう御座います」。また感謝した時は、「有難う御座いました」等日常生活において挨拶は欠かせない言葉です。
皆様、驚かないで下さい。子供の頃の私は、人見知りの性格もあってか、周りの人に対して、当たり前の様に挨拶が出来ず、「ありがとう」「ごめんなさい」が言えない子供でした。
その為、周りの人達から無愛想な人間だと思われたに違いありません。
中高生になると何とか挨拶が出来る様になるのですが…「おはよう」は「オッス」になり、「ごめんなさい」は「さーせん」となっていました。今思うと全く基本的な挨拶が出来ない若者だと、自分自身を鼻で笑うしかありません。
しかし、月日が経ち大学生の頃でした。四年間の寮生活で先ず最初に教わった事は、相手の目を見て大きな声で挨拶をしなさいでした。この強制的な指導のお陰で今では相手が誰であろうと正しく挨拶の出来る心を持つ事が出来ました。
仏典には「おはよう御座います」「有難う」の気持ちを行動で表す身近な実践として、『雑宝蔵経』に「無財の七施」が説かれています。
仏さまは財力や智恵が無くても七つの施しが出来るとお説きになられています。
挨拶はその中の「言辞施」に当たります。心から優しい言葉をかける事で、相手を喜ばし、励まし、元気を与え更には勇気づける事が出来るという、思いやりの最高の布施行ですね。
また、その布施行はそのまま、鏡の様に自分に跳ね返り自分の心を豊かにし、自身が菩提に近づく事にもなるのです。
「布施」というと、一般的にお金や財産等をより多く施す事が重要だと思われがちです。しかし一番大切な事は目に見えない心の施しです。
それを日々の日常生活の中で皆様と共に実践していきたいと思います。