コラム 一大事(いちだいじ)

 大きな事件を指す言葉で、先日の総理大臣が襲われた事件はまさに一大事であった。他に重大な事柄を指す。

 この「一大事」という言葉は、仏教語としても重要な意味を持っている。

 もとを探ると、法華経の方便品に説かれる「一大事因縁」にたどり着く。

 ここで釈尊は弟子舎利弗の懇請に応じて法を説きはじめる。そして釈尊は「私の目的は、凡夫に仏の智慧を教え、示し、悟らせ、仏の世界に導き入れることである。そのために法を説き、そのためにこの世に出現したのだ。この一大事の因縁を達成するために法を説くのである」と語られる。

 つまり、一大事とは釈尊がこの世に出現された目的、即ち私たち衆生を救って下さるという、ただそのひとつだけの目的のために為される行為・行動すべてを指しているのである。