コラム 納経(のうきょう)

 辞書には、現在・未来の安穏や追善供養のため経典を寺社に納めること。またその経典などと説かれている。

 インドでは古くから経典を土中に埋める、あるいは塔に納めるなどして信仰の対象としてきた。これが中国から日本へ入ってきた。特に末法思想の流行した平安時代の末頃から盛んに行われた。その華麗な装飾で有名な「平家納経」は平清盛が法華経・無量義経・観普賢経など三十三巻を厳島神社に納めたものである。

 納経するには当然ながら、まず写経つまり経典を写さなければならない。法華経には法華経修行の五種の行の一つとして書写行が示され、その功徳が絶大であることが説かれている。江戸時代になると納経の受取書をもらうことが盛んになり、現在の集印(朱印)帳へと変化してきた。