コラム 脱落(だつらく)
辞書には、ぬけ落ちる、捨て去る、などと説かれている。特に文章の中において必要な語句や文字が抜けていることを指すこともある。
また落伍と同様、仲間について行けなくなり取り残されることをいうこともある。
いずれにしても余りよくない意味で使われることが多いが、もとは仏教語で、とらわれがなくなること、束縛がなくなることを意味する。つまり、自己の身体あるいは心の束縛から解き放たれることをいう。あるいはまた、生まれては苦しみの中に生き、やがて死んでまた苦界に生まれ変わるという、輪廻の世界からのがれる「解脱」と同義語とされる語だったのだ。
社会から脱落した者、などというが、実は私たちはみな「脱落」できるように努力しなければならないのだ。