コラム 分別(ふんべつ)

 「ぶんべつ」と読めばゴミなどを種類によって分けることをいう。「ふんべつ」と読むと、理性で物事を区別し、善悪、道理をわきまえることをいう。経験・識見などから深く考える人を「分別がある人」と言い、逆に浅い考えの人は「無分別な人」という。

 ところが本来の仏教語では「無分別」の方が良い意味を持つのである。

 分別とは、眼・耳・鼻・舌・身・意の五つの器官で外界の物事を分類識別して認識すること。つまり自分が感じ、外界を把握するということと考えれば、分別があって当たり前と思うのだが、仏さまはそれでは自身の「我」というものに執着していると説かれるのである。執着を離れ超越することにより、自他の区別が取り払われるのであり、それが「無分別」の境地だという。