2月の法話 何よりも大事な健康/當山第三十二世 日法上人遺稿

P1060506 健康で毎日忙しい時は、二・三日ゆっくりと休んでみたいものだなあと思うものである。

 だが入院して病院生活を送るとなると、改めて健康ほど大事なものはないということを、身をもって味わった。病床に伏し、検査と治療が日課の生活。右も左も病人の中にいるからさほど気にならないが、見舞いの人の元気な姿を見ると、やはりうらやましく思う。

 お釈迦さまの教えに「四苦八苦」がある。四苦とは生老病死を言い、病気はその一つであり、やがて死に至ることさえもあるのだ。

 私は若い頃から自分の身体には自信をもっていた。その過信が病気を呼んだものと、深く反省している。即ち、十分に休養をとらず無理をする。精神的疲労・ストレスが蓄積されても、解消されることがないという状況であった。

 ストレスが身体に与える影響について、お経には次のように説かれている。

 瞋(いかり)を断たば静
 かなる眠りを得、恚(う
 らみ)を忘れれば憂いな
 し。いかりは毒の根なり
 賢者はこれを除きて安楽
 なることを得たり。

瞋も恚もともに「いかり」であるが、瞋は目に角を立てることで、丸い目をまむしのように三角につり上げて瞋ること。恚は心の中に深く怨みを含むもの。私たちの心にまつわりつく、これらのいかりの蔓(つる)を断ち切ってしまえば、夜も安らかに眠れようし、安楽な日々を送ることができよう。

 米国のある学者は「怒りが起こると顔が赤くなる。まぶたが広がり眼が充血する、声がふるえる等の状態が起こる。そして消化器系統の全てが痙攣し、脈拍は増え血圧も上がり、卒中・狭心症・動脈血栓等取り返しのつかぬ事が起こる」と述べている。

 心の肉体に与える影響がいかに大きいかが知れる。

 宗祖日蓮聖人は「いのちと申す物は一切の財の中に第一の財なり」と説かれるが、どんなに健康が大切であるかを考え、健康に日々を送ることができるよう、心がけたいものである。