コラム 末法(まっぽう)

 仏教では、釈尊の滅後、仏法の衰退とともに世の中も荒廃していくとし、正しい教えが未だ実践されている正法(しょうぼう)時・像(かたち)ばかりは残っている像法(ぞうぼう)時・教えの衰退する末法(まっぽう)時の三時を説く。平安末期に末法思想が広がり、鎌倉仏教は共通して末法の危機をいかに克服するかを宗教的課題とした。当時、自然災害が人々を襲い、飢饉や戦乱をどう乗り越えていくか、危機意識が蔓延していたのである。

 近年の世界各地の紛争や自然災害を目にして「末法」という言葉が想起される。

 宗祖日蓮聖人は末法濁世(じゃくせ)の救いは、釈尊が末法の時代に生きる今の私たちのために留め置かれた南無妙法蓮華経の題目信仰によるほかはないと説いた。目の前の繁栄や衰退に惑わされることない正しい目で先行きを見つめたい。