10月の法話 神(たましい)を養う/新實信導
健康診断の聴力検査で異常が出た。高音が聞こえていない。専門医で詳しく検査をしてくださいとの事。
耳鼻科で聴力を詳しく調査したところ、125~8000Hzの7帯の周波数を調べた結果、4000Hz帯だけが標準聴力よりも低下していた。医師の説明によると治療の必要はなく日常生活には支障がないとの診断であった。正直ホッとした。今後、健康診断の聴力検査は高音と低音だけなので再検査となるがしかたあるまい。診断結果で気が滅入った出来事であった。
健康で長寿を保ち天寿を全うしたいという願望は、人々の共通の願いである。そのためには病気を未然に防ぎ、発病しないようにすることが重要で身体と心の修養に心がけ精神の保養を行うことが必要となる。
日蓮大聖人は、「天の三光に身をあたため地の五穀に神を養う」(四恩鈔)と教示されている。私たちの生命は、天の三光(日・月・明星)と地の五穀(米・麦・粟・豆・きび等)という大自然の恩恵によって存在している。それ故に、その恵みに感謝の念を絶えず持ち続けることが、いかに大切であるかを教えられている。
三光とは、太陽と月と星のことで、日天子(宝光天子)・月天子(名月天子)・明星天子(普香天子)を三光天子と称し、釈尊説法の会座に連なり法華経を聴聞している。また法華経の行者を守護する善神であり日蓮大聖人の大曼荼羅ご本尊にも勧請されている。
私たちは諸仏諸天善神、自然への感謝の念がなければ、起きては寝、寝ては起き、食べては働き、働いては食べ、長寿のため毎日を送っているにすぎない。諸仏諸天善神に感謝し、未来永劫まで生きる神(たましい)を養うためにも、法華経を読誦し、お題目を唱えることが大切だ。身体を養い、魂に栄養を与え、魂の成長を促しているのが、法華経の信仰者・お題目を唱えている私たちなのである。
日々加齢とともに体力が衰えていくが、魂だけは鍛えていきたいものである。