コラム 意地(いじ)

 意地が悪い、意地汚い。意地を張り合えば争いとなり国どおしの戦争にまで発展することもあると、いい意味で使われない言葉です。広辞苑には「自分の思うことを通そうとする心」とあります。

 仏教では、意地は意識と同義語です。意識とは、仏教では識知し思考する心のことをいい、日常使う意識とは少し意味合いが異なります。過去を追憶し、また未来を予測することのできる心、つまり現在だけではなく過去・未来へ向かってはたらく内面的な精神活動を意味します。個人の存在そのものの中心であり、活動の場であるということから、意識の場(・)とされ、意識の地(・)→意地というのです。また、意地からの派生語に意気地(いくじ)という語もあります。

 ただ、意地っ張りはよくありませんが、意気地なしというのも困ったものですね。